12月になり、冬の寒さが一層感じられる季節になりました。

 

この時期に猫に多い病気の1つとして、膀胱炎や尿路結石に代表される「猫の下部尿路疾患」というものがあります。

 

尿は腎臓から作られ、尿管ー膀胱ー尿道を通って排泄されるのですが、「下部尿路」というのは、その中で、膀胱から尿道までの尿の通り道のことを指します。

 

猫ちゃんは、その辺りの病気が圧倒的に多く、この時期は、頻尿、血尿で来院される猫ちゃんがとても多いのです。

 

その中で、最も怖いのが、尿道が結石で詰まってしまい、おしっこが全く出せなくなってしまう尿道閉塞です。

 

オスの猫ちゃんは、尿道が狭いため、砂や小石状の結石がとても詰まりやすく、放っておくと2日以内に急性腎不全による食欲不振や嘔吐、最悪の場合、膀胱破裂や尿毒症により亡くなってしまう可能性もあります。

 

なので、尿閉を診断したら、緊急で解除する必要があります。

 

その場合、鎮静下で尿道にカテーテルを通し、その後、入院治療して、2、3日後にカテーテルを外し、抗生剤と処方食で治るケースがほとんどなのですが、、、

 

たまに尿道内の石が動かず、カテーテルが通せないケースや、通っても尿道が細くなっていて、カテーテルが極細のものしか入らないケースがあります。

 

そういった場合は、排尿障害を治すために、止むを得ず手術になることがあります。

 

手術は、陰茎を切除し、尿道を会陰部に開口するもので、「会陰尿道造瘻術」と呼ばれています。

 

34才のオスの自分としては、心情的に極力やりたくない手術であります。

 

なので、できる限り手術にならないように全力を尽くしているのですが、今回診させていただいた猫ちゃんは、尿閉の解除は出来たのですが、尿道がとても細く、短期間のうちに閉塞を繰り返してしまったため、止むを得ず手術をさせていただくことになりました。

 

会陰尿道造瘻の手術法は3パターンほどありますが、今回はWilson&Harrisonによる従来法で行いました。

 

 

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伏臥位に保定し、肛門を巾着縫合しております。

 

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まず去勢手術を行い、その後、陰茎を周囲組織から剥離します。

 

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坐骨海綿体筋を確認しているところ。

 

この筋肉と陰茎靭帯を切断し、その後、陰茎後引筋を分離後、尿道球腺の直前まで尿道を切開しました。

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その後は、広がった尿道粘膜と皮膚を5-0のポリプロピレン糸で縫合しました。

 

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尿道開口部の癒着を防ぐため、数日はカテーテルを留置しておきます。

陰茎は血液が溜まる部位でもありますので、術後もしばらくは出血することが多いです。

 

カテーテル抜去後、排尿は問題なく出来ており、術後1週間で退院となりました。

 

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術後2週間目、抜糸時の状態です。

まだ傷口がジュクジュクしております。

 

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術後4週目の状態です。

綺麗に治っておりましたので、治療終了としました。

 

 

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治療無事終了の記念にパシャリ。

お疲れ様でした。